出力トランスのコア材

 歪については、単相トランスの場合、磁性体の影響をもろに受け、そのまま歪として二次側に現れることから、単純に磁性体を選択する事で粗決まってしまいます。


歪については、各社の出している鉄心の種類と運用する磁束密度によって、どの程度の歪が発生すか、ある程度予測することが出来ます。

内容はこの程度です。

 ・ハイライトコアであれば、どの磁束密度を使っても歪が大きく発生します。

 ・オリエントコア(方向性鋼板) であっても同様、ハイライトの半分程度の歪が発生すると言えます。

 ・オリエントコア ハイビーであれば、上記2つより軽減される事が分かります。

 ・オリエントコア ハイビー レーザーの場合は、0.4T(4000ガウス)までの領域であれば、歪は殆ど発生しません。

  このことから、もし鉄で出力トランスを作る場合、オリエントコア ハイビー レーザー鋼を用い、設計で磁束密度を0.4Tに設定すれば、良質なトランスを作れます。

 歪とは、B-H曲線のX軸方向のふくらみと一致しているようです。
B−H曲線が細いほど歪が少ないと考えて構いません。

このことから、B−H曲線の面積を小さくする技術が求められたのです。



鉄は安いので大きなコアであっても、安く手にする事が出来ます。
良いトランスを作ることができるでしょう。
ギャップなどをうまく使い、磁束密度を低く使えば、高質な物も実現出来るとおもいます。



フェライトは鉄などの難しい事を考えなくとも、周波数は可聴域を大きく超えられます。また歪の少ない良いトランスを作れます。
値段は高価です。しかし製造している業者も豊富かつ、EIコアも多々あり作る側からすれば、様々な特性を実現出来る可能性をもっています。
またヘリカレントロスが全く無いので、鉄材のトランスより効率も高いものが出来ます。
しかし値段が高く、大型のコアを使う場合一般的に最高の物が作れると分かっていても、使用には躊躇するでしょう。
一般的に使われることはないと思います。




アモルファスにしても扱える磁束密度は同じような物で、B−H曲線が細いので歪の少ないトランスを作ることが出来ます。
値段はフェライト以上高く、入手は非常に大変です。
現在はファインメットが対等してきており、今後は縮小されるかもしれません。
周波数特性も良いものがありますが、それらは特に高価です。




ファインメットも同様細いB-H曲線を持ち合わせていますので、歪の少ないトランスを実現できそうです。
値段は高価であり、有り余る大きさで作ることが出来ません。
これが周波数帯域の狭い小型のトランスしか作れないことが難点です。
単純に磁性体がファインメットが良いと言えない理由がここにあります。




 全体として大まかに知っていて欲しいことは、周波数特性が良い、や、歪が少ない、ということは、高い磁束密度を使えないということです。
但しファインメットはかなり高い領域まで使えるものもあるようです。 
だから磁束密度の低い領域を使いますが、周波数帯域と、ギャップ、巻き回数などで特性が大きく異なるので、簡単に計算で求められるものではありません。

 この当りは非常に難しい計算が必要ですが各企業の秘密でもあります。

一般的に値段との関係は、そのままトランスの形状と特性、出力に一致する筈で、なかなか安くて良い物を作ることが難しいですね。

これらがが電源トランスとは決定的に異なっています。