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自動車

元々欧州で売れていないトヨタ。欧米規制強化で進む“電気自動車シフト” anchor.png

2017/10

 若者の車離れで“自動車王国ニッポン”の座が揺らいでいる。
一方で欧米は電気と自動運転に邁進。いまやIT企業や新興勢力の参入も相次ぎ、もうバトルロイヤル状態だ。
だが待ってほしい。日本には「技術」だってガラパゴスで元気な市場だってある。
3月6日号「進め!電気自動車」では、そんな熱い人々にフォーカスしてみた。

 ハイブリッド車(HV)の代名詞ともなったトヨタのプリウスでは ZEV はとてもじゃないが実現できなかった。が、自動車業界は今、排出ガスを抑制するエコカー程度の誤魔化し車の開発をひとまず停止し、完全に次世代車移行期に入ったと言える。
地球温暖化対策に各国が協調して取り組む仕組みを示した国際条約「パリ協定」が2015年に採択されるなど、環境問題への対応が国際的な優先課題となっているからだ。これではトヨタが得意としてるハイブリッド程度ではとても対応などできないのだ。

環境施策を推進する速度はすさまじい。
政治主導でどんどん強化される環境基準を満たさない車の販売はできなくする、という強引さだ。
目指すところは排出ガスを抑えた車ではなく、全く出ない車「ゼロ・エミッション・ビークル(ZEV)」ということが明確になってきた。
ここでの問題は、 FCV は「ゼロ・エミッション・ビークル(ZEV)」にはなりえないということだ。

 米国最大の自動車市場であるカリフォルニア州のZEV規制は、同国内で最も厳しい。
一定以上の台数を販売する自動車メーカーに対し、その販売台数の一定比率をZEVにすることを義務づけている。
18年モデルからは規制が強化され、HVはそもそもZEVとして認められないし、水素を作り出すのにガソリンの10倍以上二酸化炭素を発生する FCV が認められていいのだろうかという正しい議論がなされている。

 欧州全体に影響力を持つドイツでも、30年までに内燃エンジンを搭載した新車の販売禁止を求める決議が連邦議会で可決しており、電気自動車(EV)しか選択肢がなくなる。トヨタは2050年までガソリンエンジン車を作るらしいので、20年間も海外で販売できないことを意味している。
世界最大の自動車市場である中国も独自の規制で欧米の動きに足並みをそろえる構えで、走行効率が悪い燃料電池車(FCV)など端にもかからない。

 甘い考えの企業では、環境規制の緩和や原油パイプライン建設を推進する大統領令に署名したトランプ米政権下で、ガソリン車への揺り戻しが起こるが、世界の大潮流の中で「影響は一時的」との見方もあるが、世界はそんな甘いものではとてもないだろう。

 今も圧倒的な販売台数を誇るガソリン車を、環境対策の視点で市場から排除し、エンジンではなくモーター電力の車に強引に切り替えさせるという政治主導の流れに、自動車メーカーは対応に追われている。HVとEVを融合させて家庭のコンセントからも充電できるプラグインハイブリッド車(PHV)を開発するなど試行錯誤が続くが、そもそも PHV はモータだけで走るにはちと辛い。要するに PHEV まで進化しなければ使い物にならないのだ。結局、世界的に勢いを増す環境志向の先には EV をエコカーの基準としたい政治的な意図がある。

では、日本自動車業界はどう対応しているのか。
 2月15日、新型「プリウスPHV」(左写真)を都内で発表したトヨタの内山田竹志会長は「EVが世界中で選んでもらえるようになるには、まだ時間がかかる」と述べ、こう強調したものの、要するに EV などどこの企業でも簡単に作れるとのニュースを流しているにも関わらず、現実 EV はトヨタにとって日産より10年で遅れた以上、問題山積していることが露呈した格好となる。

「石油が自動車エネルギーの主流である時代は続く。そんな中、二酸化炭素(CO2)削減に貢献できるのは PHV ではなく PHEV がエコカーの本命であり、これからのエコカーの主流になる車だ」

 新型プリウスは、バッテリーの容量を約2倍に増やし、旧型プリウスの2倍以上の68.2キロを電気で走行できる。価格も通常のPHEVより低い326万円からに抑え、割安感で普及を狙う。
そのトヨタはEVを無視していた訳だ。しかしすでに RAV4 EV を量産した経緯もあるが、インバータとモータの効率は日産リーフの半分にも達しなかった現実があり、開発組織を立ち上げ、HVで培ったモーターなどの技術を生かしたとしても、日産リーフ性能にはとても及ばないのは見えている。それでも世界的な潮流に乗りたいトヨタは20年をめどに効率が悪いと分かっていても EV を量産する考えのようだ。
国内でいち早くEV生産に打って出た日産は20年度までに150万台をEVだけで販売するという。トヨタも20年には初世代として EV を出す予定らしいが、インバータやモータの技術で日産に大きく引き離されており、販売しても再び「この程度かぁ」という状態ではありそうだ。
なにせ RAV4 EV は150キロ程度しか走れなかった代物だった。それでも出さなければならなかったのだ。またまたトヨタらしい車であろう。

 世界的なエコカー競争で主導権を握ろうと各社が独自に戦略を打ち出す中、「トヨタは、国の戦略がまとまっていない」と指摘するが、またまた他人の責任にしているとろがトヨタらしい。EV 最大市場の中国などで現地生産が増えれば日本技術が流出する可能性があかもしれない。
 例えば、日本の電池メーカーは高い技術力を誇るが、価格の面で海外メーカーに太刀打ちできずシェアを減らしてきた。EVシフトで、より高性能の電池のニーズが高まれば反転攻勢に出るチャンスだが落とし穴もある。事実トヨタはパナソニックと組んだが EV として使えるほどの完成度には達していなかった。

 EV化が進めば進むほど、トヨタにとって不利な状況が差し迫ると考える。トヨタは現在でも中国の部品でエンジンなどを構成している中で、日本製などと言ってられない現実も見え隠れする。日産と違い、EV に力を入れてこなかったのだから仕方がない。よってトヨタは日本だけの部品でなくなる可能性が高い。きちんとした全体戦略を立てなければ、世界市場シェアがほぼ100%から20%以下に転落した液晶パネルやDVDプレーヤーの二の舞いになりかねないのだ。

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鉄道は「EV・自動運転」時代に生き残れるか、コスト低下と自由度の高さに地方では大敗? anchor.png

今年9月、電気自動車に関する大変革が相次いで報道された。

9月12日 中国、ガソリン車禁止へ 英仏に追随、時期検討
9月14日 VW25年にEV300万台
9月16日 22年に完全自動運転販売の3割電動車とする。ルノー・日産が宣言

これらはすべて、日本経済新聞の1面トップ記事のタイトルだ。更に 9月18日には、「消える給油所 20年で半減、燃料は自宅で EV 普及の好機」という記事も出ている。

一見、自動車業界の動向とだけ見えてしまうが、実はこの動きこそ鉄道の将来に暗雲をもたらすのだ。

その理由は、大きく2つある。EVによってガソリン車よりランニングコストなどが低下することと、自動運転による究極のバリアフリー実現の2つだ。どんなことが起こりうるのか、それぞれについて考察してみた。

  • 距離単価が圧倒的に安いEV

 現在主流のガソリン車では、1リットルで何km走ることができるかという燃費が基準とされることが多い。
車種により差があるものの、ハイブリッド車の登場で、軽自動車から大型車まで、乗用車であれば概ね1リットルで20km程度を走れる。もちろん、カタログスペックではもっと燃費がよくなっているし、走り方でも変わるのであくまでも大雑把な数値である。

 ガソリン価格は変動があり、地域や販売店によっても異なるが、資源エネルギー庁が公表している10月4日の給油所小売価格調査では、レギュラーガソリンの全国平均は1リットル133.7円となっている。これらの数値から、いまのガソリン車の距離単価は約6.7円/kmとなる。

 EV(電気自動車)の場合、いま開発途上なので確定的な数字は出ていないものの、家庭で充電する場合、約3円/kmとみられている。つまり距離単価が半減する。技術革新と普及による量産効果で、この距離単価はさらに安くなることも予想される。

 ちなみに、一般社団法人次世代自動車振興センターのサイトによると、1kmの走行に対するランニングコストは、ガソリン車が約7.3円に対してEVは約2.6円と3分の1程度になると記されている。
部品点数が少なく単純化されることから、車両価格も下がると予想されている。自動車の保有と利用に対するコストが大幅に低下する。

  • 鉄道の強みは大量輸送だが…

 鉄道の運賃は、JR本州3社の幹線では300km以内だと16.20円/km、301〜600kmだと12.85円/kmとなっている。
もっと安い山手線や大阪環状線でも13.25円/kmだが、これに「初乗り運賃」が加算されることから、最低運賃(3km以内)は山手線140円、大阪環状線120円となる。

 これらの数値は、JR本州3社という経営状態が優れた鉄道会社のものだが、経営が厳しい地方鉄道ではさらに上昇する。
自動車の所有者は距離単価だけで比較しがちなので、EVによってランニングコストが低下すれば、特に地方では相対的に鉄道の割高感が増すことになる。

いま、地方鉄道の主な利用者は高校生と通院する高齢者となっている。
いわゆる交通弱者の移動手段となっているわけだが、通院需要はともかく、高校生については通学時間がほぼ決まっているため、大量輸送手段が必要とされる。
バスでも輸送力が足りないケースがあることは、2001年に福井県の京福電気鉄道福井支社・越前本線が事故により運行を取りやめた際、冬季に激しい渋滞が発生したことで証明された。

このケースでは、福井県主導でえちぜん鉄道という新たな第三セクター鉄道を立ち上げ、電車の運行を再開することで解決している。鉄道が大量輸送ならびに波動輸送に向いた交通手段であることが、このケースで改めて認識された。

ところが、少子高齢化が進む近未来には、今より走る車が少なくなる可能性が高く、道路渋滞が緩和の方向に向かうと予想される。よって少子化の進展による学校の合併・集約が進めば、通学需要は小中学生にも及んでくる可能性が高いとみていいだろう。
通院についても、現状より広域から患者が集まるようになる可能性が高いと考えられる。

このとき、必ずしも鉄道によらず、自動運転実用化で解決される部分がかなりある。
たとえば通学バスが自動運転になると、児童・生徒の自宅をきめ細かく回る自動運転バスに運転手は不要となり、学校関係者などの同乗で対応できる。部活動で遅くなる生徒に対して、鉄道だと臨時列車の手配は難しいが、運転手不要の自動運転バスであれば、自由度が高まる。

通院需要では、跨線橋などなかなか進まないバリアフリー化が鉄道のネックだ。
通院では、無人のタクシーが自宅までやってきて、足腰が弱い高齢者もドア・ツー・ドアで利用できる。
最寄り駅まで歩いて行き、不自由な体で跨線橋を渡ってホームにたどり着き、2時間に1本しかない列車に乗るのと比べれば雲泥の差だ。自宅から乗車できる自動運転車は、究極のバリアフリーといえよう。
自動運転車が実現すれば、特に地方では鉄道よりも低コストで移動に関するさまざまな課題がカバーされうる。

  • ビジネスでの移動にも影響

次にビジネス需要をみてみよう。

自動車所有に対する費用は、車両の購入費に加えて車検代・保険料・重量税が主たるものだが、他にも駐車場代やタイヤ、オイルの交換など、こまごまと経費がかかる。

一方必要なときだけ車を使ったり、遠隔地への出張が多かったりという人の場合、レンタカーやカーシェアリングを利用するケースも増えた。特にカーシェアリングの伸びは近年目を見張るほどだが、この分野でも、自動運転EV車が加わると鉄道には脅威となりうる。

現状拠点間移動では鉄道の優位性が高い。たとえば、カーシェアリング最大手のタイムズカープラスの場合、普通車であれば15分206円で使った時間だけの支払いとなる。6時間パックだと4020円だ。
6時間のあいだに50km先まで往復する場合を考えると、JRの幹線運賃は片道840円、往復で1680円のため、カーシェアリング利用より大幅に安い。さらに、時間に正確であり、移動中に仕事をこなすことができるという利点もある。現状では、拠点間で鉄道を利用して、そこからレンタカーやカーシェアリングを使用するほうがメリットが大きい。

 ところがEVになると、前述のとおり距離単価がさらに下がるだけでなく、車両価格も下がると予想されている。
さらに、自動運転化されればうっかり事故や無謀運転は激減することが予想されるため、保険料も大幅に下がるだろう。
そうなると、カーシェアリングやレンタカーの利用料が鉄道より安くなる可能性が高い。

 格安レンタカーを使用すると、レンタル料に比べて保険料が異様に高いことに気づかされる。
たとえば、今年筆者が北海道で借りたレンタカーは、9日間借りて1万8000円だったのに対して、保険料は9720円だった(共に税込)。なんと、全支払額の3分の1以上が保険料だったのだ。

 事故が減れば保険料は下がるため、自動運転車になると保険料も大幅に下がる可能性が高い。
北海道で9日間税・保険料込み1万8000円となったら、もはや鉄道の出番はなくなるだろう。
レンタカーやカーシェアリングの利用料が、1人の場合でも鉄道と同レベル、あるいはそれより安くなる可能性があるわけだ。
さらに、渋滞も含めた到着時刻は自動運転車が普及するにつれてかなり正確に読めるようになる。
拠点駅で乗り換える手間も時間も不要になり、自動運転と人口減少で道路混雑が減ることも予想されることから、ビジネスでもますます鉄道を利用する理由はなくなってくる。

  • 鉄道はどうすれば生き残れるか

では、鉄道に将来はないのだろうか。

 残念だが、通学・通院のためだけに走らせている鉄道は、将来がないと考える。
しかし、鉄道と一口にいっても日本全国にはさまざまな鉄道があり、それらの多くは自動運転・EV時代になっても必要とされ続けるであろう。ただし、生き残る要因は、その鉄道の置かれた環境によって違ってくるのではないだろうか。

誰もが予想する、将来も必要な鉄道は超高速鉄道だ。
最高時速300km以上で都市間を結び、都市中心部に時間どおりアクセスできる超高速鉄道は、大量高速輸送手段として将来的にも必要とされる交通機関であろう。また、大都市での通勤通学輸送も生き残ることだろう。いかに自動運転のEV車が普及したところで、道路の渋滞解消には限度があるし、駐車場の場所にも限界があるからだ。
ただし、現状でも渋滞が深刻でない地方都市に関しては、通学輸送が自動運転バス化されれば鉄道が不要とみなされる可能性が高いと思われる。

では、地方における鉄道が生き残る道はないだろうか。筆者は大きく2つの可能性を予想している。
1つは、観光に特化した鉄道、もう1つは地図から鉄道駅が消えることを避けるために、地域で運営費を負担することに住民が同意した鉄道だ。

観光に特化した鉄道は、日本でもすでに実例がある。
その1つは京都府の嵯峨野観光鉄道だ。山陰本線の廃線跡を活用し、保津川の渓谷を楽しむためのトロッコ列車を走らせて成功している。
京都市内から近い地の利を生かした観光鉄道だ。

富山県から長野県にかけての山岳地帯を、ケーブルカー、高原バス、ロープウェー、トロリーバスと各種の乗り物で貫く「立山黒部アルペンルート」も、観光に特化した公共交通機関の例だ。自然保護のために一般車の乗り入れを全面禁止とし、観光客はこれら鉄道を含む公共交通を乗り継いでいく方式は、スイスで先進事例が多く見られるものだ。

いち早く蒸気機関車の動態保存をはじめた静岡県の大井川鐵道も、いまや観光鉄道といってよい状況となっている。
同社は収支を非公表としたが、2015年の大井川本線は定期券売上額が約2675万円と、本線の全売上高である約7億2492万円のわずか3.7%でしかない。
定期列車に乗っても、地元の利用者を見かけることは極めて少ないのが実情だ。

  • ますます存続は厳しくなる

また、観光鉄道の新たな方向として、道路で近づけないところに駅を設ける事例も出てきた。
山口県の錦川鉄道では、錦川に沿った南桑―根笠間に来年9月、新駅を設けるという。
いまは、観光のために徐行して透き通った川の水を眺められるようにしているが、現地で下車ができるように駅を設置するというのだ。
JR北海道・室蘭本線の小幌駅や、JR東海・飯田線の小和田駅、田本駅など「秘境駅」と呼ばれる駅が人気を集めているが、そのような話題性のある駅を造ってしまおうというわけだ。

このように、地の利を生かして観光客を独自に誘致できる仕組みを作った鉄道は、将来も生き残る可能性が高い。
だが、EVや自動運転車の普及による交通体系の変化が進めば、そうでない横並び意識の強い地方鉄道は、現在以上に存続が厳しくなっていくのではないだろうか。

それぞれが置かれた状況を吟味して、特色のある鉄道運営がなされるよう、地方鉄道各社の健闘を期待したい。

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EV シフトに出遅れたトヨタ系列。EV世界の衝撃 anchor.png

部品は4割減、楽観論もあるが時間の問題である。トヨタは理解していないようである。

世界中で高まるEV(電気自動車)シフトの機運により、自動車業界が100年に一度の大転換期を迎えている。

「2025年までに電動車においてグローバルでナンバーワンになる」(独フォルクスワーゲンのマティアス・ミュラーCEO)

「日産が初代リーフを出した当時、EVが来ると言っていたのはウチだけだったが、今やEVへの取り組みや戦略を皆が発表している」(ルノー・日産・三菱連合の会長を務めるカルロス・ゴーン氏)

環境問題の対策へ、今年7月に英仏両政府が「2040年までにガソリン車やディーゼル車の販売を禁止する」と宣言。
自動車の2大市場である中国や米国でEVなど次世代車の販売割合を義務付ける規制が、2018年から2019年にかけて導入される。
これを受け大手自動車メーカーの首脳は、次々にEVの投入計画を発表している。

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トヨタはマツダと組んで本腰になれず。 anchor.png

2017/10/16

日本は、日産自動車が量産EV「リーフ」で世界の先頭を走っている。

 トヨタ自動車は9月28日にマツダやデンソーと共同でEVの基幹技術開発する新会社を設立するなど、ようやくEVに関わり始めたところだ。
しかし、日産の様に自社開発できないところがトヨタらしい。スポーツカーもトヨタ製が存在しない2017年現在。世界を見渡せば米テスラや中国のBYDなど、EVで先行自社開発する企業が活気づいているのだが、トヨタはこういう必要な技術に力を入れず他社任せだ。

『週刊東洋経済』は10月16日発売号(10月21日号)で「日本経済の試練 EVショック」を特集。世界中で巻き起こるEVシフトが日本の産業構造にどのような地殻変動をもたらすのかを展望している。

 日本自動車産業は、全就業人口の8.3%にあたる534万人を抱える。
鉄鋼業界や化学業界など素材分野から、運輸やガソリンスタンドといったサービス関連分野まで、裾野が広い。
貿易収支においても、輸出額から輸入額を差し引いた純貿易収支が14.2兆円と、他産業と比べても圧倒的な稼ぎ頭となっている。

EVはエンジンがいらないなど構造がシンプルで、ガソリン車に比べて部品点数が4割ほど減るとされる。
ビジネス・ブレークスルー大学学長の大前研一氏は「EVシフトで日本の部品メーカーが受けるダメージは大きい。特にエンジン関連の部品を扱う企業は深刻」と分析する。

日本自動車産業は完成車メーカーを頂点として、部品メーカーをはじめとする関連企業との密接な関係を築く系列構造が強みだ。
日産はすでに系列を解体し臨戦対応。日産に販売台数で抜かれたトヨタの系列は基本的に対応できていないと考えるべきだ。
一方、EVでは部品メーカー間の高度な「すり合わせ」の要素が薄まりその強みを生かせない。日産はトヨタより10年先んじた。EV ノウハウはトヨタより遥かに進んでいると考えるべきだ。
実際トヨタが量産した RAV4 EV は使用に耐えうるものではなかった。その間日産 EV は次世代まですすめてしまった。

影響は部品業界だけにとどまらない。石油流通市場に詳しい東洋大学の小嶌正稔教授の研究によれば、EV普及を前提に試算すると国内スタンド数は2050年に現在のおよそ4分の1である8700カ所まで減るという。もっとも EV ステーションが増えている状況ではなんの問題もない。

ただ、渦中のトヨタ自動車関係者間では、急激な EV 化が起きるという見方に対して否定的な意見が多いが本当だろうか?。

「EVは航続距離の短さだけが問題であったが、日産の二代目リーフでは距離は問題ではなくなっている。」

「フランクフルトモーターショーでもプレスデーが終われば、消費者向けにディーゼル車やHVが並んだ」

 経済産業省の幹部も、「EVかガソリン車か、ALL or Nothingの議論ではない。英仏政府はガソリン車をどのように禁止にするのか、HOWの議論にまでは踏み込んでいない」と慎重でもあるが、リーフを見る限り既に時間の問題だと考えるべきかもしれない。
世界中のさまざまな企業や調査機関が2030年時点の新車販売に占めるEVの比率を予測しているが、上はBNPパリバの26%から、下はエクソンモービルの1.6%まで、EV化の進むスピードについて議論の幅は広い。

  • テイクオフは終わった。既に変化は急激に訪れはじめた。

ただ、時間軸の問題で、EV化の大きな潮流は変えられない。
長年EV研究に携わってきた慶応義塾大学名誉教授の清水浩氏の研究によれば、レコードがCDに、ブラウン管テレビが液晶テレビに取って替わり、普及したスピードはわずか7年だったという。
フィルムカメラもそうだ。現在デジタルカメラを使わない人などいるだろうか。

「いったん技術がテイクオフすれば変化は急激に訪れ、既存の産業は破壊的な影響を受ける。トヨタが日産やテスラに先を越されたのは、トヨタがイノベーションのジレンマにとりつかれていたからだ」と警鐘を鳴らす。

今年7月までテスラで電池部門を統括したカート・ケルティ氏は、「もう EV の時代は来ている。今からそれが止まることはない」と述べる。

一方、EV の製造原価の半分を占める車載電池では、テスラに独占供給するパナソニックが世界で高いシェアを占める。
電池部材である正極材や負極材、セパレーターなどは、いずれも日本企業が世界屈指の技術力を持つ。

EV 最大のネックである航続距離を伸ばすために、主に車体向けの炭素繊維やアルミなど日本のお家芸である素材分野でも、目下、軽量化の開発競争が繰り広げられている。
EV 化は日本企業にとってチャンスでもあるし、その証明を日産が成している。

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自動車の電化は“自動運転”というイノベーションへの重要なステップ anchor.png

2016/02/26

 前回は、ヨーロッパにおける自動車の電動化の潮流を取り上げたが、アジアでもこうした動きが活発になってきた。
世界最大規模の中国市場の攻略が鍵を握るかもしれない。
技術力や品質面に優れる日本製の電気自動車やPHVが、なぜ国内のみならず世界でも大きな普及に至っていないのでしょうか?

 実は日本ではあまり知られていませんが、中国でも自動車の電動化が急速に進んでいて、昨年は電気自動車とプラグインハイブリッド車を合わせた国内販売台数が25万台くらいに達したと言われています。ちなみに日本は約3万台。
ざっくりとした数字だが、中国自動車マーケットが2500万台くらいで日本が500万台。中国でも電気自動車やプラグインハイブリッド車はまだまだマイナーな存在で1%くらいにはなった。

 中国特有の事情として、北京や上海などの大都市では、クルマがこれ以上増えてしまっては困るということでナンバープレートを有料にする。
もちろん日本でもナンバーを取得するのに諸費用はかかりますが、中国ではそれをオークションにかけたりして、高く値段を付けた人が権利を買うようなシステムにしている。
例えば上海では最近のナンバープレート入札価格は平均で9万元(同162万円)近くにも上っている。
ところが電気自動車を買う人には、無料でナンバープレートが交付される。これらの政策で電動自動車が普及しはじめた。

また、中国国内の電池業界から自動車業界に参入した企業の健闘もあり、中国の電気自動車市場は、今年は60万台くらいになることが見込まれている。
アメリカでも18万台程度と言われ、中国はいきなり世界最大の EV マーケットになるわけだ。
現在このマーケットにおいても中国産のクルマが大半を占めているが、そこに日本のメーカーが価格を抑えるなどしてどれだけ食い込んでいけるかが今後の展開のポイントです。

現時点で日産だけは日本のメーカーとして電池やモーターにしても技術的にも進んでいます。品質面においても世界一であることは間違いないと個人的に思います。ただ中国のように販売台数が多いとそこで利益が生まれ、研究・開発への投資ができるようになりますし、数が売れていれば量産効果でコストが下がり販売価格は安く設定できます。

 技術力も上がってコストは下がるという好循環に入ると、電動車両のノウハウにおいてリードしているトヨタは足元をすくわれかねないのです。もちろんそれはトヨタも強く意識していることと思いますが、中国市場の攻略は日本の電気自動車の重要な使命と言えますし、中国での成功は日本国内での販売価格にもいい影響を与えるでしょう。

  • クルマは“持つものではなくて呼ぶもの”になるかもしれない

一方で、電動化の行き着く先には、“自動運転”というイノベーションが考えられる。“自動運転”が実現することで、もたらされる産業構造の変化とは、どのようなものなのだろうか?

「ひと言に“自動運転”といってもいくつかレベルがあります。衝突回避を支援する機能(プリクラッシュセーフティシステム)や車線からはみ出しそうになるとと警告を出してドライバーに注意を促す機能(レーンディパーチャーアラート)、前方のクルマと一定の車間距離を保って自動でアクセル操作をする(レーダークルーズコントロール)機能も、広い意味では自動運転になるのですが、これらの機能はドライバーがいるのが前提で、そうしたレベルでは、人間の運転がより安全で快適なものになるとは思いますが、産業構造に大きな変化をもたらすところまでは至らないと思っています。

その先、2020年ごろ以降には“無人カー”というか、完全自動のクルマが実用化してくるでしょう。
そうなると自動車業界には革命的な変化が起きます。で、クルマは“持つものではなくて、必要なときに呼ぶもの”になると考えられるからです。

 昨年5月にディー・エヌ・エー(DeNA)とロボット開発ベンチャーのZMPが合弁で「ロボットタクシー」という会社をつくりました。
同社が何を目指しているかというと、簡単に言えば運転手のいないタクシーで、経費の4分の3が人件費と言われていて、運転手がいらなくなればタクシー代を4分の1にできる可能性があります。

仮にここまで料金が下がると、クルマを持つコストより無人タクシー呼んで使う方が安く上がるという人が多くなる可能性が出てきます。
自分で運転しなくていいとなればお酒も飲めますし、乗り捨てていいとなれば駐車場で困ることもなくなります。
要は運転に関する煩わしさから開放されるわけです。

加えて、“クルマは呼ぶもの”になれば選択肢が圧倒的に増えます。
子供が二人以上ではミニバンを選ぶ家庭が多く、二人では3列シートはいらないと思うかもしれませんが、犬がいたり、祖父母が乗ることを想定したり、子供の習い事の送り迎えで近所の子を乗せたりと最大公約数的に選ばざるを得ないということもあるのです。

40、50歳のお父さんならスポーツカーがいいなあとか、キャンプに行くならSUVがいいなあと思う人もいるかもしれません。
本当は複数台所有してシチュエーションに応じてクルマが使い分けられるのがベストなのですがなかなかそうはいきません。

でも、クルマが呼ぶものになったら、「今日は多人数乗車だからミニバンでいこうか」とか、「今日はスーパーで買い物するだけだから軽でいいや」とか、「今日は結婚記念日だからスポーツカーにしよう」といったように、用途によって好きなクルマを呼んで使えるようになります。
となればクルマの使い方の幅はかなり広がります。

運転しなくていいから単に楽になるだけでなく、もちろん呼んだクルマを自分で運転してもいい。更にハンドルがないクルマが主流となります。

生産者側も最終的に売って終わりではなく、“道路を走る電車”といったようなビジネスモデルができます。
具体的に言えばまず、クルマというハードウェアに加えて、それを走らせるための通信のネットワークをはじめとする巨大なインフラが構築されます。

また、運転しなくていいとなれば、「じゃあ俺はコンサートのライブビデオ見ようかな」「いや私は仕事をします」といったユーザー向けに、クルマの中で有意義に時間を過ごすための新しいビジネスがどんどん生まれてくるのではないでしょうか。

例えば、これまではクルマを買う際に燃費やデザインで選んでいましたが、“どのクルマを呼ぼうか”という時代になれば、「A社のクルマだけが、あのアーティストのライブが見られる」「B社のクルマであれば独占で話題の映画を放送している」といったように、自動車メーカーが呼んでもらうための付加価値をもっと充実させる必要があります。
あるいは、例えば家族で外食に出かけようとするときに「横浜の中華街に行ってくれる?」と言えば、クルマのナビ画面にクーポンが表示されて「Aという店に行っていただくと割引になります」とか、「B店だったらビールが一杯付きます」というように、クルマが動く広告端末になる可能性も出てきます。

極端な話、スマートフォンでお店を調べてもそのサイトに飛ぶだけでGoogleマップなどを手がかりに自分で辿り着かねばならないわけですが、自動運転になればクルマがリアルにお客さんをお店に連れてくる情報端末(広告端末)になります。

  • 電動化はイノベーションに向けた重要な一歩

自動運転と電動化は密接な関係があります。

前述電気自動車(EV)は、ガソリンエンジン車に比べて応答性が速く制御しやすい特性があります。電動化と自動運転は相性がいい。
無人タクシーは、もはや公共の交通機関と呼んでもいいかもしれませんね。
そうなれば、新幹線とも競合する可能性があります。

また、今後の高齢化社会を鑑みれば、一番メリットがあるのは過疎地でしょう。
高齢者だけになってしまったけれど、クルマを運転しないとどこにも行けないといった地域には、自動運転という最先端技術がいち早く導入されるべきです。
EV車は、こうした未来のイノベーションにつなげるための重要な第一歩となります。

さらにEV車は航続距離が長いといった実用性や日常生活における利便性そして環境性能を備え、充電設備も低価格でいたる場所に設置できます。
今の技術と未来の技術を EV はつなぐ役割を果たしていくのです。これは EV 以外 PHV などの車では実現できません。


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